円の買い持ち増加は一服となっている?
シカゴIMMの投機的な円ポジションでは、4月10日週に差し引き+2761枚の円ロングとなった(投機部門、国際通貨先物)。前週は+3572枚となり、2016年11月以来のネット円ロングへと転換してきたが円の買い持ち増加は一服となっている。
昨年11月14日週の-13万5999枚を直近の円ショート最高とした円ショート整理と、円の買い戻しによる円高圧力には一巡感が見られている。
また、年初以降のドル安・円高では複合的な円高材料が指摘されてきたが、ロングとショートを差し引きする前の「円ロング単体」は1月9日週の3万7376枚をボトムに増加してきたものの、直近最高は3月27日週の5万6544枚と昨年10月24日週(6万00077枚)以来の高水準にとどまっている。
最新4月10日週には4万9855枚と伸び悩んでおり、積極的に円ロング単体が積み上げられているわけではない。過去の円高加速時である2007年以降や2015年以降の場合、円ショート減少と同時進行で円ロング単体が急増していた。
反対に円ショート単体については、昨年11月14日週の18万5346枚を最高として整理解消が加速。4月6日週には4万4481枚と4分の1以下に急減し、2016年11月以来の低水準に圧縮されてきた。
あくまで年初以降の円高は円ショートの手仕舞いが主因であり、1月から4月上旬までの多種多様な円高材料の中でも円ロング単体は拡大が抑制されてきた。すでに各種円高材料の織り込みは進捗しており、その中で現段階から新たに「円ロング単体の積み上げ」が加速されるエネルギーは限定的となる可能性もある。
ドルの覇権が脅かされるのは明らかだろう
イラン政府は国際収支をドル建てではなくユーロ建てで報告する方針を打ち出した。これを受けて欧州市場18日午後の取引で、ユーロがドルに対して上昇する場面があった。 BKアセット・マネジメントは、イランの動きが直接的にドルの国際的な地位を揺るがす公算は小さいものの、「他の主要国が商品(コモディティー)をドル以外の通貨で値付けするようになれば、ドルの覇権が脅かされるのは明らかだろう」と述べた。
中国は既に、人民元建ての原油取引を導入している。BKアセット・マネジメントは、ロシアが「米国による一連の制裁に苦しめられ、これまでと異なる決済方法への移行を選ぶかもしれない」と指摘した。
出所:Dow Jones & Co. Inc